プロ直伝!贈答用胡蝶蘭の飾り方と長持ちの秘訣
「せっかくいただいた美しい胡蝶蘭を、できるだけ長く楽しみたい」
そんなお気持ちをお持ちの方も多いのではないでしょうか。
私は佐久間彩子と申します。
長野県で25年間、農業高校の園芸科で教員を務め、現在は胡蝶蘭専門の講師として活動しております。
教員時代には生徒たちと育てた胡蝶蘭が地元展示会で金賞をいただいた経験もあり、この美しい花との関わりは既に40年近くになります。
胡蝶蘭は「幸福が飛んでくる」という素晴らしい花言葉を持つ、とても縁起の良い花です[2]。
その花持ちの良さから、お祝いの気持ちを長期間にわたって表現してくれる、まさに「心を映す鏡」のような存在だと私は感じています。
しかし、せっかくの贈り物も適切な飾り方やケアを知らなければ、本来の美しさを十分に楽しむことができません。
この記事では、私がこれまでの経験で培った、胡蝶蘭を美しく飾り、長く楽しむための実践的な方法をお伝えします。
退職後に植物との時間を大切にしたいと考えている方、お祝いでいただいた胡蝶蘭を大切に育てたい方に、優しく寄り添いながらご案内いたします。
胡蝶蘭を美しく飾るための基本
贈られた胡蝶蘭の特徴を知る
贈答用の胡蝶蘭には、一般的な鉢植えとは異なる特徴があります。
まず理解していただきたいのは、胡蝶蘭は本来、東南アジアの熱帯地域で他の木に寄生して生きる「着生蘭」だということです[1]。
このため、土に植わっているわけではなく、水苔やバークチップといった特殊な植え込み材料に植えられています。
贈答用胡蝶蘭の主な特徴:
- 花持ちの良さ:適切な環境なら1〜3ヶ月間美しい状態を保つ
- 支柱と固定:茎が針金やテープで支柱に固定されている
- 複数株の寄せ植え:通常3〜5株がひとつの鉢に植えられている
- 保護材料:花を守るための和紙や透明フィルムが付いている
- 装飾要素:ラッピングや立札が施されている
私が教員時代によく生徒たちに説明していたのは、「胡蝶蘭は私たちが思っている以上に丈夫で、適切な環境さえ整えれば、きっと応えてくれる花なのよ」ということでした。
実際、生徒たちが最初は恐る恐る扱っていた胡蝶蘭も、正しい知識を身につけることで見事に花を咲かせ続けることができたのです。
飾る場所の選び方:光・風・温度のポイント
胡蝶蘭を美しく長持ちさせるために最も重要なのが、置き場所の選び方です。
長野県という比較的涼しい気候の地域で長年胡蝶蘭と向き合ってきた経験から、特に温度管理の大切さを実感しています。
胡蝶蘭が最も快適に過ごせる環境は、私たち人間が心地よいと感じる環境とよく似ています。
理想的な飾り場所の条件:
環境要素 | 最適な条件 | 避けるべき場所 |
---|---|---|
温度 | 18〜25℃ | 5℃以下、35℃以上 |
湿度 | 60〜80% | エアコン直撃箇所 |
光 | 明るい室内、レースカーテン越し | 直射日光、暗すぎる場所 |
風通し | 穏やかな空気の流れ | 強風、無風状態 |
特に冬場の長野では、朝晩の冷え込みが厳しく、窓際に置いた胡蝶蘭が一晩で傷んでしまったという経験を何度もしました。
そのため、季節に応じて置き場所を調整することの大切さを、身をもって学んだのです。
鉢やラッピングの扱い方
贈られた胡蝶蘭には美しいラッピングが施されていますが、これらの扱い方にもコツがあります。
適切なラッピング処理の手順:
- 花の保護材を除去:和紙や透明フィルムを丁寧に取り外す
- 立札の確認:1週間程度は贈り主への感謝を示すため残す
- 鉢ラッピングの調整:底面の通気性を確保するため部分的に除去
- 支柱の確認:茎と支柱の固定状態をチェック
私がよくお伝えするのは、「ラッピングは胡蝶蘭にとっての着物のようなもの。美しいけれど、長時間着せたままでは窮屈になってしまう」ということです。
特に鉢の底部分は、根の呼吸に重要な役割を果たしているため、ラッピングで完全に覆ってしまうと根腐れの原因となることがあります。
見栄えを高める配置の工夫(家庭と施設別)
胡蝶蘭の飾り方は、設置する場所の特性に合わせて工夫することで、より一層美しく見せることができます。
家庭での飾り方のポイント:
- リビング:テレビボードや棚の上で、家族が集まる空間を華やかに演出
- 玄関:来客時の印象アップ、ただし冬場は寒さ対策が必要
- 寝室:香りが少ないため就寝に影響せず、朝の目覚めが爽やか
施設・オフィスでの配置工夫:
- 受付カウンター:来訪者への心遣いを表現、企業イメージの向上
- 会議室:重要な商談時の雰囲気作り
- エントランス:複数株を並べて豪華さを演出
教員時代、学校の入学式や卒業式で胡蝶蘭を飾る際も、単に置くだけでなく、高さの異なる台を使って立体感を出したり、背景の色との調和を考えたりしていました。
そうした小さな工夫が、花の美しさを何倍にも引き立ててくれるのです。
長持ちさせるための日常ケア
水やりの基本:頻度と方法
胡蝶蘭のケアで最も重要でありながら、多くの方が迷われるのが水やりです。
私が25年間の教員生活で生徒たちに最も多く質問されたのも、この水やりのタイミングでした。
「毎日お水をあげなくて大丈夫なの?」という不安を抱く方も多いのですが、胡蝶蘭は本来、少ない水分でも生きていける植物です。
基本的な水やりの目安:
- 春・夏:週に1〜2回程度
- 秋・冬:週に1回程度
- 判断基準:植え込み材の表面を触って乾燥を確認
- 水の量:鉢底から流れ出る程度にたっぷりと
- 時間帯:午前中が理想的
水やりで最も大切なのは、「乾いたらたっぷり」というメリハリです。
植え込み材の表面が乾いていても、中はまだ湿っている場合があります。
私は生徒たちに「指を少し植え込み材に差し込んで、湿り気を感じなくなったら水やりのサイン」と指導していました。
この方法で、根腐れのトラブルを大幅に減らすことができたのです。
肥料と活力剤の使い方
胡蝶蘭は栄養の少ない環境で育つ植物のため、過度な施肥は逆に害となることがあります。
しかし、適切な栄養補給により、より長く美しい状態を保つことができます。
開花中の胡蝶蘭の栄養管理:
- 基本方針:開花中は基本的に肥料不要
- 活力剤:月に1〜2回程度、薄めた液体活力剤を使用
- 葉面散布:霧吹きでの葉水に薄めた活力剤を混ぜる方法も効果的
私が現在講師として活動する中で、よくご相談をいただくのが「元気がないように見える」というお悩みです。
そんな時は、まず肥料を与えるのではなく、環境の見直しから始めることをお勧めしています。
植物は私たちが思っている以上に敏感で、環境の変化にストレスを感じることがあるからです。
葉や花の状態チェックのコツ
胡蝶蘭の健康状態は、日々の観察によって把握することができます。
私は生徒たちに「植物との対話」という表現をよく使っていましたが、毎日のちょっとした変化に気づくことが、長期間美しく保つ秘訣なのです。
定期チェックポイント:
1.葉の状態
- ツヤがある濃い緑色が健康な状態
- しわやたるみがないかを確認
- 黄変は自然な現象の場合もあり
2.花の状態
- しおれや変色の兆候をチェック
- 萎んだ花は早めに摘み取る
- 蕾の膨らみ具合を観察
3.根の状態
- 鉢から見える根の色を確認
- 健康な根は緑がかった白色
- 黒く変色した根は要注意
4.全体のバランス
- 茎の支柱固定の確認
- 株全体の安定性をチェック
ラッピングや支柱のメンテナンス方法
美しい状態を長期間保つためには、装飾部分のメンテナンスも重要です。
ラッピング材の管理:
- 1週間後:鉢底部分のラッピングを部分的に除去
- 2週間後:立札以外のラッピング材を全て除去
- 通気性確保:根の呼吸を妨げないよう配慮
支柱の調整方法:
- 定期確認:茎の成長に合わせて固定位置を調整
- 優しい固定:茎を傷つけないよう柔らかい材料を使用
- 自然な姿勢:無理に真っ直ぐにせず、自然な曲線を活かす
長年の経験から申し上げると、胡蝶蘭は「手をかけすぎない」ことも大切です。
愛情を注ぐことと、過度な干渉をすることは異なります。
適度な距離感を保ちながら見守ることで、胡蝶蘭本来の美しさを最大限に引き出すことができるのです。
季節ごとの注意点とケア方法
春・秋:成長期のサポート
春と秋は胡蝶蘭にとって最も快適な季節です。
長野県では特に、朝晩の寒暖差が胡蝶蘭の健康に良い影響を与えることを実感しています。
この時期は、胡蝶蘭が最もエネルギッシュに活動する成長期でもあります。
春(3〜5月)は植え替えの最適時期でもあり、私が教員時代に生徒たちと行っていた植え替え作業も、ほとんどがこの時期でした。
春のケアポイント:
- 水やり頻度の調整:冬から徐々に回数を増やす
- 湿度管理:霧吹きでの葉水を積極的に行う
- 換気:暖かい日は窓を開けて新鮮な空気を取り入れる
- 植え替え検討:根の状態をチェックし、必要に応じて実施
秋(9〜11月)は、夏の疲れを癒し、冬に向けて体力を蓄える大切な準備期間です。
秋のケア重点項目:
- 温度管理:朝晩の冷え込みに注意
- 日照時間の活用:秋の柔らかい日差しを十分に当てる
- 水やり調整:徐々に頻度を減らして冬に備える
夏:暑さ対策と蒸れ防止
夏の胡蝶蘭管理は、暑さと蒸れとの戦いです。
長野県は比較的涼しい地域ですが、それでも真夏日には30℃を超える日もあり、胡蝶蘭には厳しい環境となります[3]。
特に室内でエアコンを使用しない環境では、40℃近くまで室温が上がることもあり、1日で株全体が萎れてしまう危険性があります。
夏の管理で最も重要な対策:
1.遮光対策
- レースカーテン2枚重ねで50〜70%遮光
- 直射日光は絶対に避ける
- 午後の西日は特に危険
2.通気性確保
- 扇風機やサーキュレーターで空気を循環
- エアコンの風が直接当たらない位置に配置
- 蒸れを防ぐため風通しを良くする
3.水やり調整
- 頻度を2〜3日に1回に増加
- 水量も通常より多めに(500ml程度)
- 朝の涼しい時間帯に実施
4.葉水の重要性
- 1日数回の霧吹きで湿度補給
- 夕方の葉水で日中の疲れを癒す
私が生徒たちによく話していたのは、「夏の胡蝶蘭は、私たちが炎天下で運動しているのと同じ。こまめな水分補給と休息が必要」ということでした。
冬:寒さから守る置き場所と工夫
冬は胡蝶蘭にとって最も厳しい季節です。
熱帯原産の胡蝶蘭にとって、日本の冬の寒さは生命に関わる問題となることがあります。
特に長野県の冬は厳しく、室内であっても夜間は10℃を下回ることもしばしばです。
冬の置き場所選びの優先順位:
- 温度の確保:最低15℃以上を保つ
- 湿度の維持:暖房による乾燥に注意
- 日照の確保:冬の貴重な日差しを活用
- 温度変化の回避:急激な温度変化を避ける
具体的な防寒対策:
- 夜間の移動:窓際から室内中央部へ移動
- 保温グッズ活用:段ボールやビニールでの簡易温室作り
- 暖房器具の配置:直接風が当たらない程度の距離を保つ
- 加湿器の使用:乾燥対策として有効
冬場の管理で私が最も心がけているのは、「胡蝶蘭の立場になって考える」ことです。
寒い夜に薄着で外にいることを想像すれば、胡蝶蘭がどれほど辛い思いをしているかが分かります。
それぞれの季節に合った「寄り添うケア」
四季を通じて胡蝶蘭と向き合ってきた経験から、私が最も大切にしているのは「寄り添うケア」という考え方です。
これは、マニュアル通りのケアではなく、その時々の胡蝶蘭の状態や、季節の特性に合わせて柔軟に対応することを意味します。
寄り添うケアの実践例:
- 春:新しい成長への期待を込めて、やや積極的なケア
- 夏:厳しい暑さを乗り切るためのサポートに徹する
- 秋:夏の疲れを癒し、冬への準備をゆっくりと
- 冬:静かに見守り、春を待つ忍耐強いケア
この考え方は、私が長年の教員生活で培った「生徒一人一人と向き合う」姿勢と同じです。
画一的な指導ではなく、その子の個性や状況に合わせたアプローチが、最も良い結果をもたらすのと同様に、胡蝶蘭も一株一株異なる個性を持っています。
よくある失敗とそのリカバリー方法
花が早くしおれてしまう
「せっかくの美しい花が、思ったより早くしおれてしまった」
これは、胡蝶蘭を初めて育てる方から最もよく寄せられるご相談です。
胡蝶蘭の花は本来、1輪あたり2週間から1ヶ月程度持つはずですが、環境が適していないと数日でしおれてしまうことがあります。
花が早くしおれる主な原因:
- 温度ストレス:急激な温度変化や適温範囲外での管理
- 水分不足:根からの水分吸収が不十分
- 湿度不足:乾燥による水分蒸発の促進
- 光線過多:直射日光による花弁の傷み
- 輸送疲れ:贈答品として長距離輸送された影響
immediate対処法:
- 環境の見直し:温度・湿度・光の条件を再確認
- 水やりチェック:植え込み材の水分状態を確認
- しおれた花の除去:他の蕾への影響を防ぐため早めに摘む
- 霧吹きケア:葉と花に軽く霧を吹いて湿度補給
私が教員時代に体験した印象深いエピソードがあります。
ある年の文化祭で展示用の胡蝶蘭が一晩でしおれてしまい、生徒たちが大変落ち込んでいました。
原因を調べてみると、展示会場のエアコンが夜間も強風で稼働していたことが判明しました。
その経験から、環境の小さな変化が胡蝶蘭に大きな影響を与えることを深く学んだのです。
根腐れやカビが出たとき
根腐れは、胡蝶蘭を枯らしてしまう最も一般的な原因です。
水やりを頑張りすぎてしまった結果として起こることが多く、特に初心者の方に見られる傾向があります。
根腐れの症状チェックリスト:
- 葉の状態:ツヤがなくなり、しわが出てくる
- 茎の状態:しわが寄り、ふにゃふにゃになる
- 根の色:健康な緑白色から茶色や黒色に変色
- 臭い:鉢から嫌な臭いがする
- カビの発生:植え込み材の表面に白いカビ
根腐れのリカバリー手順:
1.被害状況の確認
- 株を鉢から慎重に取り出す
- 根の状態を詳しく観察
- 健康な根と腐った根を見分ける
2.腐った部分の除去
- 消毒したハサミで黒く変色した根を切除
- 切り口には殺菌剤を塗布
- 健康な根のみを残す
3.植え替え実施
- 新しい植え込み材を使用
- 通気性の良い鉢に植え替え
- 植え替え後1週間は水やりを控える
根腐れからの回復には時間がかかりますが、健康な根が少しでも残っていれば復活の可能性があります。
私は生徒たちに「植物の生命力を信じて、諦めずに見守ること」の大切さを伝えていました。
葉が黄色くなる原因とは?
胡蝶蘭の葉が黄色くなると心配される方が多いのですが、実は全てが問題というわけではありません。
葉の寿命による自然な黄変と、病気による黄変を見分けることが重要です。
自然な葉の黄変の特徴:
- 場所:下の方の古い葉から順番に黄変
- 進行:ゆっくりと時間をかけて変化
- 質感:黄色くなると同時に薄くなり、しわが寄る
- 他の影響:他の葉や株には影響しない
病気による黄変の特徴:
- 急激な変化:短期間で急速に進行
- 斑点模様:均一でない黄変、斑点状の変色
- 水っぽい質感:ぶよぶよした感触
- 拡散傾向:他の葉にも影響が広がる
葉の黄変への対処方法:
原因 | 対処法 | 注意点 |
---|---|---|
自然な寿命 | 完全に枯れるまで待つ | 無理に取らない |
水分過多 | 水やり頻度を減らす | 根腐れチェック |
栄養不足 | 薄めた液肥を与える | 与えすぎに注意 |
病気 | 病気部分を除去 | 早期対処が重要 |
リカバリーのタイミングと手順
胡蝶蘭の不調に気づいたら、適切なタイミングでリカバリー作業を行うことが成功の鍵となります。
リカバリー作業の最適タイミング:
- 根腐れ対処:症状発見後できるだけ早く(季節問わず)
- 植え替え:春(4〜6月)が理想的だが、緊急時は除く
- 病気対処:症状確認後即座に対応
- 環境改善:いつでも実施可能
段階的リカバリー手順:
1.第1段階:応急処置(発見当日)
- 症状の写真記録
- 環境の緊急改善
- 被害拡大防止
2.第2段階:詳細診断(2〜3日後)
- 原因の特定
- 回復可能性の判断
- 対処法の決定
3.第3段階:本格対処(1週間以内)
- 植え替えや切除などの実施
- 新しい管理方法の開始
- 回復過程の観察
私が現在、胡蝶蘭の講師として皆様にお伝えしたいのは、「失敗を恐れず、チャレンジする気持ち」の大切さです。
植物との関わりは、まさに人生そのもの。
うまくいかないこともありますが、その経験こそが次の成功につながるのです。
贈る人・贈られる人を想う飾り方
お祝いの気持ちを伝える演出
胡蝶蘭は「幸福が飛んでくる」という花言葉の通り、お祝いの気持ちを表現する最適な花です。
しかし、ただ置くだけでなく、贈る人の気持ちと贈られる人の喜びの両方を考えた飾り方をすることで、その価値は何倍にも高まります。
私が教員時代に学んだ大切なことの一つは、「相手の立場に立って考える」ことの重要性でした。
これは胡蝶蘭の飾り方においても同様で、受け取る側の環境や気持ちを想像することが、最も美しい演出につながります。
お祝いシーン別の演出アイデア:
- 開店・開業祝い:店舗の入口付近で来客への印象アップを図る
- 昇進・就任祝い:オフィスのデスク周りで成功への願いを表現
- 新築祝い:リビングや玄関で新しい生活のスタートを祝福
- 創立記念・周年祝い:企業の歩みを祝福し、さらなる発展を願う記念の演出[2]
- 還暦・古希祝い:和室や洋室問わず、人生の節目を美しく彩る
感謝の気持ちを込めた飾り方のコツ:
- 立札の活用:贈り主の名前が見えるよう、来客の目線を意識した配置
- 写真撮影への配慮:記念撮影に映える背景を考慮
- 香りへの気遣い:胡蝶蘭は香りが少ないため、食事の場でも安心
- 長期展示の工夫:美しい状態を長く保つためのメンテナンス
- ラッピングの配慮:企業のコーポレートカラーに合わせた色選び[2]
ビジネスシーンでの色選びの注意点:
お祝いの胡蝶蘭では、色の選び方にも配慮が必要です。
特に「赤」一色の胡蝶蘭は「火事」や「赤字」を連想させるため避けるべきとされています[2]。
ただし、深みのある赤色や紅白の組み合わせ(赤リップ)は縁起が良いとされ、創業記念などでも人気があります。
- 避けるべき色:鮮やかな赤一色
- おすすめの色:白、ピンク、赤リップ(紅白)
- ラッピング:企業イメージに合わせた上品な色合い
個性に合わせた飾り方の提案
胡蝶蘭の魅力は、そのエレガントな姿にありますが、飾り方次第で様々な表情を見せてくれます。
受け取る方の個性や好み、ライフスタイルに合わせた飾り方を提案することで、より一層愛着を持っていただけるものです。
個性別おすすめ飾り方:
- クラシック好きの方:アンティーク調の花台と組み合わせて気品ある演出
- モダン志向の方:シンプルな白い台で洗練された空間作り
- 自然派の方:木製の台や籐のカゴで温かみのある表現
- アート好きの方:照明を工夫して影と光のコントラストを楽しむ
年齢層に応じた配慮:
私と同世代の60代以上の方々には、特に以下の点を考慮した飾り方をお勧めしています。
- 手入れのしやすさ:水やりや観察がしやすい高さに配置
- 安全性:つまずきやすい場所を避けた安全な設置
- 鑑賞のしやすさ:座った状態からでも美しく見える角度
- 生活リズムとの調和:日常生活の邪魔にならない場所選び
施設・お店・自宅での心配りポイント
胡蝶蘭を飾る場所によって、配慮すべきポイントは大きく異なります。
長年の経験から、それぞれの環境に最適な飾り方のコツをご紹介します。
オフィス・施設での飾り方:
1.来客動線の考慮
- エントランスや受付での第一印象作り
- 会議室での商談時の雰囲気演出
- 通路の邪魔にならない配置
2.メンテナンス体制
- 複数人での管理分担
- 週末や休暇中の対応計画
- 専門知識を持つ担当者の設定
3.企業イメージとの調和
- 会社のコーポレートカラーとの調和
- 業種に適した上品さの演出
- 清潔感のある管理状態の維持
創立記念・周年祝いでの特別な配慮:
企業の記念日は特に重要なお祝いの機会です[2]。
胡蝶蘭の本数選びも、お相手との関係性や企業規模に応じて調整することが大切です。
- 3本立て:一般的な取引先や個人経営の店舗
- 5本立て:重要な取引先や大きな節目(10周年、25周年など)
- 立札のマナー:ビジネスシーンでは木札が格式高く適している[2]
また、オフィスビルに入居している企業への配送では、部屋番号の正確な伝達が重要です。
病院などでは衛生面から生花の持ち込みを制限している場合もあるため、事前確認が必要です[2]。
飲食店での特別な配慮:
- 衛生管理:調理場から離れた場所での設置
- 香りの影響:料理の香りを妨げない胡蝶蘭の特性を活用
- 花粉対策:胡蝶蘭は花粉が少ないため飲食店に最適
- 清掃のしやすさ:日常清掃の邪魔にならない配置
ご自宅での温かい演出:
家庭での胡蝶蘭は、家族の笑顔と共にある特別な存在です。
私自身も自宅で胡蝶蘭を育てており、その癒しの効果を日々実感しています。
- 家族団らんの場:リビングで家族皆が楽しめる配置
- 来客おもてなし:玄関での心温まる歓迎の演出
- 個人の癒し空間:寝室や書斎でのリラックス効果
- 子どもの教育:植物の成長を通じた命の大切さの学習
特に、退職後の時間を大切にされている方には、胡蝶蘭との日々の対話を通じて、新しい生きがいを見つけていただければと願っています。
毎朝の水やりチェック、葉の状態観察、花の微細な変化の発見など、これらの小さな楽しみが、豊かな日常を彩ってくれるはずです。
まとめ
この記事を通じて、胡蝶蘭の飾り方と長持ちの秘訣をお伝えしてまいりました。
最後に、私が40年近い胡蝶蘭との関わりの中で最も大切にしている想いをお話しさせていただきます。
胡蝶蘭を美しく、長く楽しむための要点:
- 基本を理解する:胡蝶蘭の特性を知り、適切な環境を提供する
- 季節に寄り添う:四季の変化に合わせたケアで自然のリズムを大切に
- 観察を習慣化する:日々の小さな変化に気づくことで早期対処が可能
- 失敗を恐れない:トラブルも学びの機会として前向きに捉える
- 相手を思いやる:贈り主と受け取り主、双方の気持ちを考えた飾り方
私が教員時代に生徒たちによく話していたのは、「植物を育てることは、人を育てることと同じ」ということでした。
忍耐強さ、観察力、思いやりの心、そして諦めない気持ち。
これらは全て、胡蝶蘭との関わりの中で自然に身につく大切な心の成長です。
「育てる」という優しい時間がもたらすもの
胡蝶蘭は確かに美しい花ですが、私にとってそれ以上に価値があるのは、この花と向き合う時間そのものです。
朝の水やりチェック、午後の葉の状態確認、夕方の環境調整。
これらの日課は、慌ただしい日常に穏やかなリズムをもたらしてくれます。
特に人生の節目を迎えられた方、お仕事から退かれて新しい時間の使い方を模索されている方には、胡蝶蘭との時間が心の支えとなることを実感していただけるでしょう。
胡蝶蘭とともにある暮らしのすすめ
私は現在62歳ですが、胡蝶蘭と向き合う時間は、まさに人生の後半を豊かにしてくれる宝物だと感じています。
一輪一輪の花の美しさを愛でる喜び、新しい蕾の発見時の嬉しさ、困難を乗り越えて再び花を咲かせた時の感動。
これらの体験は、年齢を重ねるほどに深い意味を持つようになります。
贈答用の胡蝶蘭をきっかけに、植物との新しい関係を始められることを心からお勧めいたします。
最初は不安もあるかもしれませんが、胡蝶蘭は私たちの気持ちに必ず応えてくれる、優しく強い花です。
どうぞ、ゆっくりと、そして楽しみながら、胡蝶蘭とのかけがえのない時間をお過ごしください。
あなたの生活に「幸福が飛んでくる」ような、素敵な胡蝶蘭ライフが始まることを、心より願っております。
参考文献
[1] 胡蝶蘭のお手入れ方法・育て方を解説。胡蝶蘭を長持ちさせる管理方法とは[2] 創立記念・創業記念のお祝い花なら胡蝶蘭!おすすめ5選と予算・マナーを解説
[3] 春夏秋冬での胡蝶蘭の管理方法